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Emiko

ファッション&サステイナビリティ



ファッションが大好きです。スタイル作り、布のお仕事、色のコーディネート、そしてユニークなテキスタイルやお洋服をデザインする。まさに情熱です。長くファッションのお仕事をしながらファッションの色々な面、そしてファッション業界を見てきました。ちなみに、ファッションとファッション業界は別物です。


ファッションを勉強していた時、私が特に好きだったのはコスチューム・ヒストリー、「服飾史」です。その時代のお洋服のディテールはもちろん、私が興味を深く持ったのはファッションと社会のかかわり方でした。世の中の出来事や環境がファッションに与える影響、ファッションの流行が反映する社会の変化。ファッションはまさにカラフルな社会史なんだ!、と思いました。ファッションにはビジョンがあるのだということを、時代時代に生まれた先駆者と言われるファッションハウスやデザイナーから学びました。


昔のファッションは本当に素敵だったと思うのです。もちろん今でも社会とファッションは常に関係していると思います。が、商業化、大衆化がファッションを大きく変えてしまったのです。テクノロジーの大変革は大量生産を後押ししました。素材から製品数まで膨大なチョイスが生まれ、最短生産サイクルを求めることでアウトプットがさらに増え、いわゆる「ファースト・ファッション」といわれる大衆ファッションが主流となったのです。一方、性別から年齢までマーケットセグメンテーションが進み、その結果全ての人の要求を満たすありとあらゆるものがマーケットに氾濫するようになります。


ファースト・ファッションが台頭しだした時、「恐ろしいことになったな」、と思ったものです。「これは私が大好きなファッションと違うぞ!」と。街を見回すと、どの店も同じような商品が並んでいます。いやいや、これはやっぱり違う、とこの頃から私のファッションの旅が始まったのです。そしてこの旅は後に自分がテキスタイル・ベンチャーを始まるきっかけとなったのです。


私にとってファッションの原点はテキスタイルにあります。昔から布が大好きだったのです。私が最初に務めたのはテキスタイルの背景があるイギリスのファッションブランドでした。ここでの経験は私の将来性を決めたといっても過言ではありません。ロンドンの本社で働いているテキスタイルデザイナー、グラフィックデザイナーとの仕事のインパクトの大きかったこと!ここで私はテキスタイルの魅力、工程、色、パターン、そして布がどのように作品になっていくのか等とにかくありとあらゆることをスポンジのように吸収したものです。何よりも大事なのは、ここから自分のテイスト、美意識といったものを発展していくことになったのです。


私が興味を持ったのはアート&クラフトとしてのテキスタイルでした。既に色々な布を集めていました!特に、アジアやアフリカの伝統工芸や民族の織りに興味がありました。夜間のテキスタイルコースで織りを学び、染色に惹かれだしたのもこの頃でした。こうして集めた布たちを見ながら色々な思いが沸き上がりました。布を整理したり分類したりするうちに知らず知らず何かを編集している自分に気づきました。その作業が面白くて止まらなくなりました。思えばそれが自分のデザイン・ビジョンを布という素材に反映した始まりでした。これらの伝統の織りを自分のテイストで何か新しものにならないか?何か素敵なものを創れないか?



クラフト・コミュニティーとのかかわりが深まるほど自然とサステイナビリティについて考えるようになりました。既に伝統工芸は衰退の道を辿っていました。工芸家の腕は実に素晴らしいものですが、同時に彼らにはデザインやスタイルのヘルプが必要でした。技術は確固としたものでも、彼らの環境から私たちが住むモダンなライフスタイルやファッション性を想像するのは難しい。「これだ!」と私は思いました。こここそまさにファッションを活かせる場所だ!私の大好きなファッションやスタイル作りが彼らの伝統工芸を進化させ、需要を生み出すことになる。今でも私の中でそのミッションがブレることはありません。


私が仕事をするラオスとカンボジアには素晴らしいクラフト文化とコミュニティーがあります。我々のコラボレーション制作活動の他に、新たなリソースを発掘するという意味でも現地に行き続ける必要があります。どんなにテクノロジーが発展しても、自分の目で見、布に触れずには本当のコラボレーションは生まれません。現場で織り手がどうやって織っているのか、どれだけ時間がかかるのか、自分のデザインを理解してもらうには、などこればかりは現場に行くしかありません。彼らとの関係づくりも時間がかかります。


そうしているうちに、私が最も好きな作業が彼らもとても楽しみにしているということがわかりました。それは私のデザイン・インプットでした。最初のころは少々レジスタンスを感じましたが、今となっては「エミコのカラーがとても好き、自分たちの伝統が新しく生まれ変わるのは楽しい」ととても喜んでくれるのです。そう、ファッション効果!この作業を続けることで彼らのモチベーションが上がり、クラフトを進化させられるのであればこんなに嬉しいことはありません。さらにコミュニティー全体の活性化にもつながります。


私の旅は大好きなファッションへの想いを追求していくことから始まりました。アーティザンとの仕事を通してコミュニティーの一部になれたことは今後も私の事業のモチベーションであり続けるでしょう。Fashion is a passion!


Emiko Nakamura | emgallery



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